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Q9.不登校って病気?

 

これは1988年、
朝日新聞夕刊一面のトップ記事なんだ。
稲村さん、もう亡くなられた方だけど、「登校拒否症」「無気力症」と書いてあるように、学校に行けない状態を病気と診ていた。
この新聞記事でいろいろ大変なことがおこった。

今まで見守っていた母親に、父親がこの新聞記事をつきつけ「すぐ精神科へつれて行け。」と怒鳴ったり、親戚が来て、 学校に行っていない子を、病院へ連れていこうとした。
学校の先生もこの記事を家庭に送りつけ、その子が学校に行きたくないだけなのに、病院へ行くように勧めた。

人々は一時的にパニックに陥った。

登校拒否・不登校は病気ではない。
それなのに、病気と診る人々が多かった時代があって、こんなことが起こるのも「子どもというものは学校は行くもんだ」と
信じて疑わないので、行っていない子を理解できず、「心の病」「精神に異常をきたした」と思いがちだった。

この時は、「登校拒否を考える会」や、「東京シューレ」など不登校を異常視せず、なおすのではなくて、受け止める方向で考えてきた市民団体や居場所が力を合わせて、この動揺をくい止めるべく緊急集会を持ったんだ。
300人の会場に800人もの人が集まって凄い熱気だった。
新聞社にも抗議した。

この集会の後、次第に病気という見方が減っていった。

 

 

なぜ病気とみられやすいのか?

それでも、今でも不登校の子どもを、「心の病」「精神病」と見る人たちが居るし、子どもが自分で「おかしくなった」「病気になった」と思っている人がいる。
そこで、なぜ病気と診られやすいのかを整理しておこう。

 

 

その1

 

学校は行くことが当然と思っている社会だから、行かないと異常視される。
これは社会の価値観(学校を絶対視している)から来る。
社会の価値観を疑う必要があるのです。

東京シューレができて3~4年のころ。
登校拒否の生き方を肯定し、この自分でよいと考える元気な子たちが目立ち始めた。
すると新聞に「明るい登校拒否は、もっとも治りが悪い」と専門家の意見が出た。今でこそ、あまり言わなくなったが、元気な不登校は治療困難とされた。
おかしいことでしょう?
元気で楽しく暮らしていればいいんじゃないかしらね。

 

その2

 

 ・ 行くと言って行かない
 ・ 行こうとするのに行けない
 ・ 行けないのにまた行けないという
 ・ 行きたいのに行けない

こういった葛藤が繰り返されるとおかしいと見られる。
これは、社会の価値観が「学校へ行って当然」とあり、自分もそう思っているとき、行けない心理や気持ちであっても「行かねばならない」と思いこんでいるので、こういった形にあらわれるんだね。
つまり、頭と体の分裂が起きている。
脳では「行かねばならない」「登校しない人間なんてとんでもない」と考えているが、体は学校に拒否反応を示している。1人の人間の中でその分裂が起こる。

これは苦しい。

頭と体が一致すれば矛盾がなくなって、苦しさが収まる。その際、頭にあわせるか、体にあわせるか-。それはどっちが本物かによる。頭は言葉で考えるから、世の価値観を反映して、学校に行くべきと考えるが、体はうそはつけません。体が「行けない、行かない」なら、
頭で考えることもそれに一致すれば、自分の中の矛盾がなくなって楽になってきます。

-しかし、いかねばならないと思っているのに行けない、という苦しい葛藤は、 「変」とか「病気」と、みられてしまいやすいのです。「行きたいなら行けばいいじゃない」「変な子」「おかしい」というふうに。

 

その3

 

家庭内暴力や強迫神経症、幼児がえり。

不登校は、日本社会では、だめな存在とみられ、また、自分でも否定的に見てしまうために、不登校、不登校ぎみで「あるべき姿にならない」という状態にあると、強い劣等感、自分を責める気持ち、未来への絶望感、生きていたくない気持ちに襲われ続けることになりやすいのです。

その極地にいたると、大変な苦しさに追いつめられ、家庭内暴力、強迫神経症、幼児がえりなどが現れてくることがあります。
物を壊したり、親にカップを投げつけたり、そんなことはよくないとは知っているけど、思わず、そんな形で自分をぶつけるしかない、つらい状態にもかかわらず家庭内暴力を出す子は、悪い子、問題の子と見られ、やはり人格的にも崩壊しているとみられたり、精神病院へ即入院させられたりした例もあります。

また、自分が安心できない、汚れた、ダメな状態と感じている場合、自分を清めねば行動できず、手を何時間も洗ったり、風呂に半日も入っている、などの強迫神経症がでてくることも不思議ではありませんが、さまざまな神経症は、通常、そんなことを目にすることなく暮らしている人々には、「おかしな子」「水がムダになるのに」といった見方がされ、やはり、不登校は病気とみられるひとつの原因になっています。

幼児がえりも、不安が極度に強まり、文句なく、親に守られたい支えられたい、という時に、お母さんに甘える形で出てきます。
だっこ、おんぶ、牛乳を飲ませてもらう、オッパイにさわる、一緒に布団にもぐり込んで寝る。
スプーンで食べさせてもらう、どこに行くにもお母さんとくっついて、トイレまでついていってしまう、などの様子を見て、年齢が大きいのに、あんなにしかできないのは、心が病んでしまった、心が成長できていない、とみられるのです。

不登校をしたことで、あるいは不登校になりそうで、それを否定し責める社会の中で、不登校そのものは病気ではないが、二次的に生じてくる状態をみて、病気と思ってしまうこともあるようです。

中には、本当に、うつ病、分裂病になってしまう例も少数あるようですが、不安な場合は、精神科、心療内科などの門をたたき、専門家の助言を受けることも含め、自分一人で不安を抱え込まないようにしていくことをお勧めします。

 

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