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奥地圭子理事長の辞任について(ログシューレ性暴力加害事件検証報告書を受けて)

奥地圭子理事長の辞任について(ログシューレ性暴力加害事件検証報告書を受けて)
2021年6月24日 東京シューレ 2021-22年度理事会

※ログシューレ性暴力加害事件に関してはこちら

 平素は当団体にご理解、ご支援を賜りありがとうございます。去る6月12日(土)に開会された当団体NPO総会において、東京シューレの創始者であり、長く理事長を務めた奥地圭子が理事および理事長を辞任しましたので、ここにご報告申し上げます。
 今後につきましては、追って発信させていただく予定です。

【経緯:総会直前・2020-21年度最終理事会における奥地・中村理事の次期理事推薦の取り消しに関する決議について】

 NPO総会直前に開かれた定例理事会において、次期理事候補であった中村国生理事より動議が提出されました。動議は「子ども等の人権保護に関する委員会(以下「人権委員会」)によって数日前に提出された『ログシューレ性暴力加害事件人権委員会検証報告書(最終)』(以下『報告書』)ならびに「ログハウスシューレ性暴力加害事件・裁判に関する第三者調査委員会(以下「第三者委員会」)」による『諮問事項に関する回答』(以下『回答』)の内容と反省から責任をとって次期理事候補名簿から中村国生と奥地圭子を除外して欲しい、というものでした。

 理事会はこの動議を議案として認め、審議の上、中村・奥地の両名についてそれぞれ挙手をもって採決し、結果として次期理事候補者名簿から除外することといたしました。この決定に伴い、先に送付した本件に関する第3号議案を変更し、オンラインで採決を行いました。
 採決は6月15日(火)に締め切られ、第3号議案は成立し、中村国生、奥地圭子両名は次期理事として選出されず、これを受けて東京シューレ創始者である奥地圭子は理事および理事長を辞任いたしました。

【奥地理事長、退任の理由】

 今回、奥地理事長が退任した理由は、人権委員会報告書および第三者調査委員会回答(*下記・抜粋参照)にあるとおり、主に以下の2点によります。
 
 第一は、東京シューレが、重大な性暴力加害事件、子どもの人権侵害事件を引き起こしてしまったことです。重大な性被害が裁判の原告のみならず特定されているものだけでも複数名の被害者が発生し、かつ加害者もAだけではなく複数いるとの情報もあり、深刻重大な性加害事件を発生させてしまったこと(『報告書』11-⑦)です。
 
 第二は、その重大な人権侵害事件について、法人として事後対応を誤ったことです。東京シューレの子どもたちを守りたい、という主観的な確信のもとで、その深刻な人権被害を軽視し、原告を含む複数名の性被害者への救済対応を十分に行わなかったことに加えて、原告が納得する「和解」に至らず、裁判で確定した人権侵害事実について「口外禁止」を図り、理事会による真の解決を妨げてきたこと(『報告書』10、11-⑧~⑬、『回答』前半文書より)です。

 この事実は、すでに裁判で確定したものをふくめて揺るがないものであり、奥地理事長の責任は重大であり、理事会決議をもって今回の総会で役員を退任することとなりました。
 東京シューレ2021-22年度理事会としましては、理事長制を軸としたこれまでの理事会運営体制を改めて、合議制、役割分担制を軸とした新たな運営体制を整えるべく努力するとともに、第三者、外部理事を含めて、東京シューレ再建を図るべく新理事会体制―「再建理事会」を確立して、早急にこれまで被害に遭われた方々の調査および救済につとめ、あわせて事後対応の誤りを認めつつ再発防止のために努力する所存です(『回答』後半文書より)。
 
 なお、今回の理事会、総会に至る判断のもとになっている報告書に関しては、早急に公開すべきものと考えています。原告被害者のお気持ち、ご意思を尊重しつつ、情報提供者への配慮などを行いつつ、速やかに公開していきたいと考えます。
  

*報告書および回答から抜粋

子ども等の人権の保護に関する委員会(委員長 大谷恭子)
『ログシューレ性暴力加害事件 人権委員会検証報告書(最終)』
2021年6月10日 理事会提出
(1~9 略)
10 和解内容及び和解以降―和解の内容及び以降の対応に関する事実関係
(1)和解における口外禁止条項は、シューレが求めたものであること 略
(2)原告は和解後のシューレの対応に納得せず、責任ある対応を求め続けていること 略
(3)和解後の混乱―口外禁止が理事およびスタッフらに与えた影響  略
(4)小括―法人の責任
 和解に口外禁止を盛り込んだこと、これが原告の要請ではなくシューレの強い要請によるものであること、この事実でさえ、奥地理事長は秘匿し、かつこれを人権委員会が指摘してもなおかつ認めようとしなかった。本件について、シューレが負うべき社会的責任は大きいと書面ヒアリングで答えたスタッフは 70%におよび、殆どのスタッフの共通の認識となっている。シューレ(理事並びにスタッフ)及び関係機関が大きな混乱を受けていることを奥地理事長は真摯に認めるべきである。裁判記録から明らかなことさえ否定し続け、混乱を深めさせたことも含め、理事長の責任は大きいと言わざるを得ない。

11 結語
 以上のごとく、本件においては、ログハウス建設時において既に加害者Aによる支配的構造が生成され、ログシューレ運営に至り本件被害を発生させ、その原因はすべて法人にあるにもかかわらずこれが放置され続け、提訴に至るもこれが秘匿され、裁判は和解と言う形で終了したにもかかわらず口外禁止で秘匿され、結局、いまだに原告との間で真の和解に至っていない。この責任は法人にあり、なかんずく理事長及び事務局長の責任は特段に大きいものがあると言わざるを得ない。以下その責めを列記する。

① ログハウス建設時に既に加害者Aのログハウスにおける支配性は確立していたこと、これを知りながら彼が社長を務める会社に業務委託し、実質彼を責任者に据えたこと
② 十分な経済的基盤がないままログハウスを建設し、宿泊型ログハウス事業を始め、脆弱な体制のままログシューレを継続し、過酷な労働条件と人事体制を維持し続けたこと
③ 子ども主体を標榜し、子どもの夢とやる気を応援するべきシューレが、ログハウス建設時から、子どもの安全な生活を脅かしたこと
④ ログハウスにおけるヒエラルキー(特にAの支配力)に対し、子どもの人権及びスタッフ人権の観点から適切な指導、監視、配慮等がなされなかったこと
⑤ 宿泊型ログハウスの運営において、リスク管理、特に性加害行動について研修及び相談体制を用意しなかったこと
⑥ ログハウス当時において、本件被害の通報がありながら、これに対し適切に対処しなかったこと
⑦ 重大な性被害が原告のみならず 複数の被害者が存し、かつ加害者もAだけではないことが示唆され、深刻重大な性加害を発生させてしまったこと
⑧ 上記⑦の被害を見逃したこと、もしくは適切に対処しなかったこと
⑨ 急遽ログハウスを閉鎖し、性加害の事実を曖昧にし、被害者に謝罪し、支援する機会を逃したこと
⑩ ログシューレ事業を突然休止することによって、被害者とシューレの関係を断絶し、被害者を孤立させ被害を深刻化させたこと
⑪ 本件提訴を理事会にも知らせず、理事長と事務局長のみで進めてしまったこと
⑫ 理事会に対し事件全体の説明が不十分なまま、口外禁止を含む和解に応じさせたこと
⑬ 口外禁止によってさらなる混乱を招いていること

 以上列記しただけでも、法人の責任、なかんずく理事長と事務局長の責任は特段に大きいと言わざるを得ない。この責任がどのように果たされているのか、原告のみならず、シューレを取り巻く多くの子どもの人権団体は注視しているところであり、可視化できる形での責任の所在を明らかにすることが喫緊に求められている。

________________________________________
*ログハウスシューレ性暴力加害事件・裁判に関する第三者調査委員会
『諮問事項に対する回答』
2021年6月10日 特定非営利活動法人東京シューレ 提出

 (前略・・・・その後、)
 2021年5月31日付で人権委員会委員長より、「ログシューレ検証部会報告書」と題する、人権委員会内の検証部会が本件について行った検証の内容及び結果をまとめた書面 が、当委員会に提出されました。 そこで、検証の一環として同報告書を精査しました結果、当委員会としては、以下の結論に至りました。
 すなわち、理事会において承認された「検証論点=諮問事項」の5項目については、いずれも、検証部会による検証により一定の結論が導かれており、当委員会として、諮問事項に回答するために追加の調査を行う必要はなく、検証部会の指摘のとおりであると考えます。 検証部会は、検証結果において、本件被害の発生原因について貴法人に責任があること、貴 法人の本件被害に対する初期対応、本件提訴から和解までの裁判対応、裁判上の和解が成立した後の対応が、いずれも、本件被害者及び関係者に対していわゆる「二次被害」を引き起こしていると評価すべき不適切なものであることを指摘しています。また、同検証結果においては、 こうした貴法人の対応が、法人内部で十分に情報を共有し、議論を尽くしたうえでなされたものではなく、理事長及び事務局長の独断により行われてきたものであることも指摘されています。

 そうである以上、当委員会としては、貴法人においてまずなされるべきは、理事会において、 検証部会の報告書を精査し、事実関係を十分に認識したうえで、本件についての責任の所在を明らかにし、再びこのような事態を繰り返すことのない健全な組織運営がなされ得る体制をととのえること、そして、あらたな体制のもとで、法人として、本件被害者に対する真摯な謝罪の示し方、再発防止のためになすべきこと等について、議論・検討することであると考えます。

 したがいまして、そうしたあらたな体制のもとでの議論・検討のなかで、第三者からの視点による調査・検証が必要であると判断された場合に、あらためて、検証目的や諮問事項を定め、 第三者委員会に諮問することはあり得るとしても、少なくとも、現時点において、2021年 4 月10日の理事会による諮問内容について、当委員会としては、当委員会でこれ以上調査等を行う必要はなく、検証部会による上記報告書のとおりである旨回答する次第です。

以上

 

以下、当事件に関してこれまでに掲載したニュース一覧です。

・2021年3月19日掲載

東京シューレの起こした性暴力加害事件に関する検証について

・2020年9月12日掲載

フリースクール全国ネットワークの代表理事および理事を辞任いたします

・2020年2月10日掲載

東京シューレにおける性被害について、及び、子ども等の人権、安心・安全を守るための取り組み