フリースクール東京シューレ



 その1 

その人はとてもよく話を聞いてくれる人で、
ぼくは毎週話に行くと、ちょっとほっとした。
そのカウンセラーは、
お母さんが学校の先生から推薦されて、行くようになった。
ところが、5ヶ月くらいしたら、
「キミは今とても気持ちが落ち着いているし、元気だ。
 今なら登校もできそうだね。校門まで今度行ってみない?」
と言いだして、ぼくはウンと言わないのに、次に行った時、
「先生も待っていて下さるよ。連絡してあるから安心して。」と言った。
こういう場合、カウンセラーとどうしたらいいのか。
そのカウンセラーには、もう会いたくない。

自分が会って苦しくなるカウンセラーだったら、断っていいのです。
たとえ先生の推薦でも、
自分にとっていいところを選ぶその一つにすぎないですから。

このようなカウンセラーは、自分の用意する、
ある一定の方向に子どもをもっていきたがっていて、
子どもの気持ちを尊重するのでなく、押し殺すことになりかねません。

解決は学校復帰とばかり、それを持ち出すのは、
学校へ行く子は正常だけど、
休んでいる子は問題児で治さなきゃ、という考えがありありです。

 その2 

俺は、時々すごく落ちこむんだ。
高校中退したのはいいとしても、
僕と同年齢の人たちは今年大学受験で、 勉強しているし、
不登校しても、皆、それぞれ元気にバイトだ、
バンドだと、何かやっている。
俺は、もうすぐ20になるというのに、
自分なりの道もみつけられない。
何で、俺は生まれてきたんだ。
こんな自分はいない方がいい、と思ってしまう。
気がつくと、家具とか、ぶっ壊して、 茶碗やコップを投げつけている。
そういう時にまた落ち込む、死にたくなる。
「精神科にいったらどうか」と親に言われたが、それもショックだった。
やっぱり、精神科の門をたたかないと治せないのだろうか。
僕はもう病気なのか。

人は、落ち込むときもイライラする時もあって、
すぐ病気と考えなくていいのではありませんか。

自分をとても否定的にしか考えられなくて、
何もかも、悪い方向にしか考えられない時があると思います。
たまらない気持ちを持ち続ける、
それが毎日続く、つらい日々があると思います。
なぐさめられたり、励まされたりすること、 そのものもいやで、
誰にも心を閉ざすこともあると思います。

それは病気になったらではなく、つらくて、傷ついていて、
自信も何ももてない状況だからであって、
親に、精神科をすすめられても、
行きたくなければ行くことはありません。

ただし、親は精神病にかかったと思って、
すすめたのではないかもしれません。
例えば、このごろ食欲がないという時、
内科に行ってみようということがありますが、
病気だから行くのでなく、いわば専門家の助言を得に行く、
あるいは、健康診断をしにいくわけです。
精神科もまた、自分の健康診断や相談先として、
行って精神科医と話してみようか、と思ったら、
病気でなくても全く気楽に行けばいいのです。
病気である、なしに関係なく、
気が楽になるヒントがあるかもしれません。

ただし、精神科医もいろいろだから、
頭から専門家の言うことは信じなくちゃ、と思いこまず、
納得できなかったら、やめたり、変えたりしていいことを忘れずに。

 

 

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